高校選手権3回戦 青森山田 2 - 3 多々良学園(観戦114試合目)

日時:2006年1月3日(火)12:10キックオフ
会場:市原臨海競技場
観衆:よくわかりません。
主審:高山(えーえーえー?)
得点:澤本(青森山田、14分)、山田(多々良、29分)、澤本(青森山田、64分)、
   ハウバート(多々良、79分)、小畠(多々良、79分)

天気がすっかり良くなって、今日は晴れ。キックオフ時は風がそれほどでもなく、お昼過ぎの臨海メインスタンドはポカポカ陽気。ダウンジャケットを脱いで冷たいビールが楽しめるぐらいだった。青森山田の控え部員たちがタオルマフラーを売り歩いていたので一本ゲット。おお、レアアイテムじゃあ、などと無邪気に喜んでいるうちに選手が入場してきた。


青森山田のスタメン

   11伊東  10小澤
      9フランク   8松本
     5櫛引  6馬見塚
 7百目木 4鈴木 3澤本 13高橋
      1大久保

数字にすると4-4-2なんだけど、中盤が変則的なフォーメーション。
8松本がウィングとして右サイドに張り、9フランクは中に入ってトップ下の位置に入る。大きく空いた左サイドは11伊東が流れたり、7百目木がオーバーラップするためのスペース(このへん、エルゴラに書いてあったのと同じ)。


多々良学園のスタメン。

    11山田 10ハウバート
  9斎藤       6楢崎
    8平間   7菅田
 5田村 3観音寺 4國光 2松田
       1柳井

こっちはオーソドックスな4-4-2。
お母さん軍団の黄色い歓声がかなり強力。


立ち上がり、多々良は中盤でしっかりパスを繋いでビルドアップ、最後はハウバートの突破力や右MF楢崎のスピードを使って勝負、というパターン。一方、青森山田のほうはまず安全第一、ということでロングボールを多用して右ウィング松本やFWを裏のスペースに走らせるが、やや急ぎすぎのきらいがあり、味方の位置をよく確認せずにただ蹴ってしまう場面が目立った。


両チーム通じてのファーストシュートは青森山田。5分、ロングボールに反応した小澤がラインの裏で受け、DFと競り合いつつシュートするがゴール右。続いて7分、スローインからの展開で左コーナー付近でキープした小澤が、オーバーラップしてくる百目木へパス、そのままミドルを放つがバーの上。
多々良もハウバートがエリア右サイドにドリブルで侵入、角度の無いところからシュートを放っていくがGKにキャッチされる。


状況がやや変わってきたのは10分すぎ。青森山田がダブルボランチのボール奪取力にものを言わせて徐々に中盤で優位に立ちはじめ、ロングフィードの狙いが定まり始める。また、徐々にパスを繋いでビルドアップする場面も出てくる。多々良はやや押し込まれ気味になり、攻撃もカウンター調のものになっていく。


徐々に流れが青森山田に傾きつつあるとき、先制点が生まれた。
14分、左CKからCB澤本がヘディングでゴール。一枚をニアに飛び込ませてDFのマークを引きつけ、その結果生じたわずかなスペースに入り込んでフリーで合わせたゴールだった。


その後、青森山田はノリノリ(死語?)。ダブルボランチが次々とボールを刈り取り、前線に配球する。右サイドを松本がえぐり、チャンスを演出する。16分、松本の右クロスを小澤が落とし、フランクが突進(DFに阻まれシュート打てず)。17分、小澤が右サイドをえぐり、ゴールライン際から折り返し。多々良DFがゴール前に集中してクリア(誰かハンドを犯したが反則とられず)。
多々良も左MF斎藤がエリアに持ち込んで、ハウバートがシュート、DFに当たった跳ね返りをボランチ平間がシュートするがこれもブロックされる。


20分すぎからは、青森山田左SB百目木が積極的にオーバーラップし始め、今度は左サイドから崩していく。21分、小澤が左サイドに流れ、サイドチェンジをボランチ櫛引へ落とし、オーバーラップした百目木がシュート(GKがはじき出す)。この時間帯、百目木は、あなたアウグストですか、というポジショニングでほとんど左ウィングとして機能し、チャンスをつくっていた。


しかし、好事魔多し。百目木が上がった青森山田の左サイドは当然手薄になり、多々良がそのスペースをつかって反撃を試みる。右MF楢崎のスピードを軸に、右ボランチ菅田、右SB松田などがからんで崩し、2トップにラストパス・クロスを送る。青森山田も、ボランチがカバーに回ったり、DFラインをスライドさせて対応し、百目木を前目に位置させて攻撃を継続する。しばらく、多々良の右サイドを軸に攻防が続いた。
29分、多々良は右サイドから持ち上がり、最後はライン裏へのフィードに合わせてFW山田が飛び出し、GKとの一対一を制してネットを揺らし、同点に追いついた。


この失点のあと、さすがに百目木も下がって守りを固め、攻撃は小澤のボールを引き出す動きを中心に、伊東・フランク・松本が絡んでいく形になるが、繋ぎがちょっと雑になってフィニッシュまで持ち込めない。多々良も、青森山田ダブルボランチに阻まれてなかなかボールを前に運べず、状況はやや膠着気味。35分、小澤が裏へ抜け出して、DFと競り合いながらもゴールエリアまで持ち込み、角度の無いところから打っていったのが唯一の見せ場で(シュートはGKがブロック)、前半を終わる。


ハーフタイムにさしかかるころ、いったん雲が多くなって日がかげり、後半開始から少したって再び陽が差してきた。ホームからアウェイ側への、強風を伴って。


後半立ち上がりから青森山田ダブルボランチが中盤を制圧、多々良を押し込み始める。多々良は圧力に押されてプレーが中途半端になりがちで、まだ風上の利を生かせず、ミスからたびたびピンチを招く。
青森山田は44分、スルーパスに小澤とフランクが反応するが、ゴールエリアで重なってしまってチャンスを生かせず。48分、FKをGKが飛び出してクリア、それが短くフランクが拾ってシュート、グラウンダーのボールがゴール前の密集を抜けるが、マウスを守っていたDFが逆をつかれて体勢を崩しながらもクリア。


多々良は48分、2枚を同時交代。右SB松田から20小畠を投入、右MFに据え(6楢崎が右SBに下がる)、左MFは斎藤から19平川にチェンジ。


青森山田は攻勢を継続。52分、FW伊東が右に流れてクロス、中央で受けたフランクがフェイントでDF3枚をかわしゴールエリアまで切り込んで折りかえすが多々良DFが足を伸ばしてカット。57分には右クロスをファー側で受けた小澤がシュートコースを捜しながらカットインしてパス、受けた松本がスピードでエリアに侵入して折り返し、DFがカットするがCK。そのCKから右SB高橋がシュート、と攻めるが決めきれない。そうしているうちにいよいよ風が強くなり始め、多々良もロングボールを使って反撃を始める。


60分すぎあたりから、ボールを支配しパスを繋いで攻める青森山田、風上の利を生かしてロングボール&カウンターを試みる多々良、という図式が鮮明になっていく。


青森山田の攻撃。61分、フランクがドリブルで前進、フェイントでマークを外しシュート、DFに当たるが跳ね返りを拾った伊東がクロス、ファーに百目木が飛び込むが届かず。64分、右CKからの流れで、多々良DFが自陣深いところでいったんボールを収めるが、青森山田がすかさず3人で囲んでクリアを蹴らせず、ボランチ櫛引がボールを奪って中央の小澤へパス、小澤が横移動してコースを造り強烈なシュート、GKがかろうじて弾くが、これをCB澤本が頭で押し込んで勝ち越した。


その後もダブルボランチのボール奪取力がフル稼働していた青森山田がボールをキープ、多々良のロングボールカウンターに対してもDF陣が落ち着いて対処し、ゲームをコントロールする。
そして75分、前がかりになった多々良の裏を再三ついていた青森山田の攻撃が実を結びかける。裏へのパスに抜け出した17川西(57分にフランクと交代)が飛び出したGKの上を抜くフワリとしたシュートを放つ。これがゴールするかに見えたが・・・強風にあおられて失速し、ゴールエリアをコロコロと転がって左ポストに当たり、跳ね返りを多々良DFが追いつきクリア。いやー、なんちゅーか、ゴルフマンガでよくあるでしょ。ギリギリのパットが、風に流されてカップを蹴られるって。まさに、あの感じ。決まっていれば試合を決定づけたゴールになったのだが、風のいたずらのおかげで、多々良は首の皮一枚残った。


その後も、放り込みを始めた多々良に対し、青森山田の守備陣は落ち着いて対処しているように見えた。そろそろロスタイムが迫ってくる頃、こりゃ、今日のMOMは中盤を支配した青森山田のダブルボランチだな、と思った矢先、青森山田がおかしくなる。ここまで、放り込みに対してもしっかりラインをコントロールして多々良FWの動きを牽制し、ロングボールを跳ね返し、カバーリングもきちんとやってきたDF陣がズルズルと自陣ゴール前に下がってしまう。そこにクロスを入れられ、FWハウバートがトラップでマーカーをはずしシュート、これが同点ゴール。このとき、手元の時計は80分をすぎていた。


いやー、守る意識が強くなりすぎたか、PK戦かよー、と思っていたらロスタイム1分すぎた頃、ペナルティエリアの縁あたりの混戦から多々良の誰かが放ったシュートが左ポスト直撃、その跳ね返りが詰めてきた20小畠の前にどんぴしゃりで転がって・・・逆転ゴール???! ・・・になっちゃった・・・。


ロスタイムは3分、残り時間で青森山田が必死の反撃を試みる。が、右クロスを百目木がシュートするもGKにはじき返され、ジ・エンド。多々良が奇跡の逆転劇で準々決勝に駒を進めた。


いやー、サッカーってわからないよねえ、ほんと。後半、多々良のシュートは手元集計で3本のみだった。つまり、ハウバートの同点ゴールまでは、40分間でたった1本しか打たせていなかったってことだ。あの強風の風下にいたのにね。そこまで完璧だった守備陣が、最後の最後にズルズル下がってしまい、偶然のようなハウバートの好トラップから同点弾を浴びる。そして、ロスタイム、PK戦のことを考えちゃったんだろうか。気を抜いていたようには見えなかったが、どこかに隙があったのかもしれない。
そして風。75分のシュートが決まっていれば、もっと余裕を持って守ることができ、多々良を1点で抑えきった可能性が大きいだけに、ああ・・・もう言葉にならん。気丈に顔を上げて審判や相手チーム、応援団に挨拶している小澤が痛々しかった。青森山田、この大会はなかなかシュートが決まらなかったな。黒田監督もインタビューで言っていたけど、ゴールエリアからのシュートがことごとく止められていた。トーナメントを勝ち抜くのに不可欠な、メンタル面での勢いというか、流れに乗りきれなかったのが、一番の敗因かもしれない。


多々良は・・・こりゃ流れに乗っちゃったね。学校が倒産しちゃって、部費も削減されちゃって、かなり大変みたいなんですが、かえって結束が深まったというか、妙な勢いを感じさせる。流経柏、青森山田と戦闘力で上回る相手を接戦の末に撃破。絶対にあきらめない、あきらめなければ必ずチャンスが来る、と信じてやっているようなところが見受けられるので、どこまでいくか、楽しみになってきた。
次の相手は・・・こちらも妙な勢いで勝ち上がってきた鹿島学園。ノリノリvsノリノリ(死語?)って訳ですね。激しく楽しみ。だが5日は休めない・・・つーことで、おとなしく録画観戦しますだ。


今日のところはこの辺で。